試用期間中の解雇を争い、理想的な解決が図れた事例
事案の概要
Xさんは、Y社に管理職として採用されました。試用期間6か月の満了2か月前、上司であるA氏が、Xさんを評価した査定書を幹部職員宛てに一斉配信し、その翌日解雇を言い渡しました。A氏の査定書には誇張や歪曲が多く、Xさんを極端に過少評価し、悪意さえ感じられる内容でした。Xさんは、この解雇の効力を争うべく、当事務所を訪問されました。
解決までの流れ
当事務所がY社に対して抗議書を送ると、直ちにY社が反応して代理人を立て、和解交渉が始まりました。Xさんは、A氏がいる限りY社には残らないという気持ちであり、金銭的解決を目指すことになりましたが、Xさんにとって何より承服しがたいのは査定書でした。Xさんには、解決金額の多寡よりも、自分の名誉回復の方が重要でした。
当事務所もXさんの意思に沿うよう交渉し、結局、和解合意書中に、A氏はXさんに対し査定書の内容が不当であることを認め謝罪する、A氏は査定を撤回するという条項が盛り込まれました。また、解決金額等に関しては、退職日を和解合意成立日から3か月先とし、その3か月間は就労義務を免除するが、給与は支払うという内容になりました。
コメント
Xさんは和解合意の翌日から転職活動を開始しました。無事に転職先が見つかり、転職先との話し合いで、Xさんの勤務開始日は、Y社退職日の翌日からということになりました。こうして、キャリアの面では浪人の期間が発生せず、金銭面では収入の中断がないという、理想的な成果が得られました。