パワハラを理由とする損害の賠償を獲得した事例
事案の概要
Xさんは看護師でしたが、Xさんが勤務するY病院では、オンコールという夜間の在宅患者対応サービスを提供していました。あるとき、オンコール担当者が退職したことから、Z理事長から、後任を補充するまでの短期間だけだから頼むと言われ、看護師としての通常業務に加え、オンコール業務を引き受けました。
ところが、いつまで経っても、新しいオンコール担当者は採用されませんでした。Xさんは、1年もの間、休日も返上して一人でオンコール業務を行いましたが、その過大な負担に耐え切れなくなり、Z理事長に繰り返し改善を申し入れました。その結果、ようやくXさんのオンコール業務を他の医師たちも分担することになりました。
ところが、Z理事長は、医師がオンコール業務をしなければならなくなったのは、Xさんが私用のためにオンコールを拒否したからであると言って、Xさんを非難しました。
このような扱いを受けたXさんは、Y病院とZ理事長に対して損害賠償を請求したいと当事務所に相談に来られました。
解決までの流れ
数回にわたる病院側との主張のやり取りの末、病院側は、Z理事長の行為がパワハラに該当することを認め、損害賠償に応じました。
コメント
本件は、パワハラの6類型の中の「過大な要求」に該当します。この類型では、使用者側は、過大ではない、あるいは本人が自発的に引き受けたと主張してパワハラを否定します。本件では、Xさんが2人分の業務を行っていたこと、及び理事長から言われて断れなかったことから、病院側はパワハラを認めざるを得ませんでした。