侵害品の販売中止及び廃棄により、著作権者の法的措置を事実上止めた事例
事案の概要
Aさんは、エアロビクスのインストラクター向けDVDを、ネットで購入しました。このDVDにはコピーコントロールがなかったので、Aさんは約100枚コピーを作成し、メルカリやラクマで販売しました。1か月後、Aさんは著作権者から侵害警告を受け、民事上・刑事上の措置を講じると予告されました。驚いたAさんは、警告に対して適切に対処するために当事務所を訪問されました。
解決までの流れ
当事務所は、直ちに侵害の成否を調査しました。すると、Aさんがネットで入手したDVDは、海賊版であることが分かりました。著作権侵害の成立が明らかになったので、著作権者に対して、書面で、侵害の事実を認めて謝罪するとともに、侵害に至った顛末を申告しました。また、刑事訴追しないことや、損害賠償額の減免も要請しました。これと並行して、侵害品をすべて引き揚げて廃棄し、このことも著作権者に報告しました。
これに対する著作権者の回答は、一切容赦はしないという非常に厳しいものでした。しかし、その後は、音沙汰がなくなり、4か月が経過しても、何の動きもありませんでした。こうして本件侵害紛争は事実上終息しました。
コメント
著作権侵害警告を受けた場合、大急ぎで侵害の有無を調査する必要があります。侵害していることが判明した場合には、これまた大急ぎで侵害を中止し、権利者に対して自ら侵害を認め、穏便に解決することを申し出るべきです。こうすることで、社会的信用の喪失防止や損害賠償額の最小化を図ることができます。著作権侵害紛争では、まず権利者を尊重することが穏便な解決の鍵です。