下請会社が市場に流通させた粗悪品を回収した事例
事案の概要
T社は、ヘアオイルをネット販売していました。ところがT社と取引関係のないA社が、同じヘアオイルをネット販売しているのを発見しました。試しに購入してみると、それは、T社が、品質不良を理由に下請製造会社Mに返品した粗悪品でした。T社がM社に返品した粗悪品の数は3000本を下りませんでした。このまま粗悪品が流通すると、市場が混乱し、正規品が信用を失ってしまいます。T社は、市場に流通している粗悪品を回収したいと当事務所を訪問されました。
解決までの流れ
当事務所は、A社に連絡を取り、その粗悪品の入手経路と在庫数を聴取しました。次いで、A社が粗悪品を購入したというB社に連絡を取り、粗悪品の入手先、入手本数と販売先を聴取しました。B社は、M社から、中身は正規品と同じだからと言われて、その粗悪品を廃棄物同様の価格で2000本購入し、A社その他の業者に販売していました。当事務所は、B社から、粗悪品を販売したすべての相手先業者を聞き出し、それらの業者に連絡を取って、業者がB社から買った値段と同じ値段で粗悪品を買い上げました。
残る1000本の行方についても調査を試みましたが、M社はすでに廃業しており、その代表者も行方不明となっていました。もっとも、当事務所が調査した限りでは、残る1000本が市中に出回ることはありませんでした。
コメント
メーカーが下請会社に製造委託をすることは普通に行われています。しかし、下請会社の技術力や体力によっては、本件のような事件が起こり得ます。下請会社との風通しを良くしておくことが適切です。