日本国在住・二重国籍の未成年の子に対する親権者を、米国在住・米国籍の母から、日本国在住・日本国籍の父に変更することが認められた事例
事案の概要
Aさん(日本国籍)と、別居中で米国在住の妻B子さん(米国籍)は、B子さんが米国で提起した離婚訴訟において離婚判決を受け、B子さんは、彼女が養育していた両人の子、C子さん(二重国籍)の単独親権者となりました。しかし、B子さんは、新しい恋人ができてからはC子さんを持て余し、放置するようになりました。
Aさんは、C子さんの生活状況を見かねて、B子さんの同意を得てC子さんを日本に引き取り、AさんがAさんの元でC子さんを監護養育するようになりました。
それから2年半後、Aさんは、親権者でないことによる不自由を解消するために、自分をC子さんの親権者にする方法はないかと当事務所に相談に来られました。
解決までの流れ
Aさんを親権者にするためには親権者の変更を申し立てることになりますが、その前提として、準拠法を決定する必要がありました。法の適用に関する通則法によると、C子さんは二重国籍ですが、常居所地が日本なので、日本法が本国法となり、Aさんの本国法も日本法なので、Aさん、B子さん、C子さんの法律関係の準拠法は日本法ということになります。
そこで、日本法に基づいて家庭裁判所に親権者変更審判を申し立て、裁判所に対して親権者変更の必要性・相当性を力説しました。その結果、C子さんの親権者をB子さんからAさんに変更することを認めてもらうことができました。
コメント
家族間(夫婦、親子)にトラブルが生じた場合、家族の中に外国籍の人がいると必ず準拠法の問題が起こります。裁判所は日本でも、外国法が準拠法になることがあります。その場合、外国法を調査する必要が生じます。また、相手方当事者が外国在住の外国人である場合には訴状・申立書を翻訳することなど、準備しなければならないことが数多く生じます。