預託金500万円の返還を分割払いにして和解し、差押えを回避した事案
事案の概要
F法人は、老人ホームを運営する社会福祉法人です。F法人は、老人ホームの経営に関心を持ったL社から事業買収の申入れを受け、交渉を開始しました。その際、交渉金として500万円をL社から預かりました。しかし、買収交渉は不成立となり、L社は交渉金の返還を請求しました。ところが、F法人は資金繰りの都合がつかず交渉金を返すことができなかったため、L社はF法人の銀行預金口座を仮差押えしました。
これに対し、このままではホームの敷地・建物が仮差押を受けるかもしれず、それが公に知れるとホームの経営が立ち行かなくなる、と危機感を抱いたF法人は、L社との債務弁済協定を当事務所に依頼されました。
解決までの流れ
当事務所は、L社に対し、仮差押えを取り下げること、500万円を分割払いにすることを要請し、その代わりに公正証書を作成することを提案しました。L社はこの提案を受け入れました。
コメント
公正証書は債務名義になるという点で、債務者には強制執行を受けるリスクの高い手段です。安易に応じるべきではありません。しかし、より大きなリスク(事業廃止)を避けるために必要であれば、公正証書の作成に応じることは有益であり、強力な交渉材料となります。