離婚に際し、マンションを売却した代金でローンを完済した残額を配偶者の一方が全額取得し、他方で、他の配偶者に対し、養育費支払義務を全額免除した事例
事案の概要
Xさんは、夫Yさんとの間で離婚協議を進めていました。財産分与に関し、Yさん名義のマンションがありましたが、ローン残高はマンション価格を下回り余剰が期待できました。Xさんは、子供を連れてマンションを出て別居しました。XさんYさんとが解決すべき問題は、財産分与と養育費でした。
解決までの流れ
当初の案は、マンションを売却した代金からローンを完済した残りを3分し、Xさん、Yさん、子供に均等に分配する、また、YさんはXさんに対し標準的な養育費を支払う、という内容でした。しかし、事情を聞いてみると、Xさんは、長期にわたる養育費の回収管理は煩わしいし、不払のリスクを負いたくないこと、また、居住のためにまとまったお金が必要であることが分かりました。そこで、当事務所はXさんの代理人としてYさんと交渉し、ローン完済後の残り全額をXさんが取得する代わりに養育費支払を全額免除することを提案し、同意してもらいました。
コメント
この合意では、当初案に比べると、計算上、Xさんの取得額は少なくなるものでした。しかし、ローン完済後の残額全部が売却と同時に一括して得られることや、その額が将来の養育費の全額を上回っていたことから、Xさんには十分メリットがありました。Yさんにとっても、相当額の養育費を今後20年近く払い続けることは負担でした。そのため、双方が受け入れ可能な案でした。