婚約者の背信行為について、高額の慰謝料が支払われた事例
事案の概要
N氏はYさんを見初め、交際を始めました。半年後、Nさんの誘いにより、YさんはNさん宅で同棲を始めました。交際開始から2年後の正月休みには双方の実家を訪問し、それぞれの両親にあいさつしました。結婚式場を見て回ったこともありました。双方の両親の顔合わせもしました。Yさんは、勤めていた会社を退職しました。1日も早い入籍を希望し、N氏に対して婚姻届に署名するよう求め、N氏もこれに応じて署名をしました。役所へは二人で届を出そうと、待合せをすることにしました。しかし、待合せ時刻を過ぎてもN氏は待合せ場所に現れませんでした。その日以来、N氏は家に戻って来なくなり、連絡も取れなくなりました。Yさんも結婚を諦めました。
Yさんは、N氏の行動を許すことができず、慰謝料を請求したいと当事務所を訪問されました。
解決までの流れ
当事務所は、N氏に対して婚約不履行を理由に慰謝料を請求しました。これに対し、N氏は「結婚しよう」と言ったことは一度もない、と一切の責任を否定しました。事実、N氏が「結婚」の2文字を口にしたことはありませんでした。
しかし、過去の言動や、婚姻届まで書いたことなど、婚約の事実を立証することは十分に可能でしたから、当事務所は慰謝料請求訴訟を提起しました。裁判上の和解の席上、N氏側から慰謝料100万円の提示がありましたが、当方は、本件では低額に過ぎるとして200万円を要求し、結局、N氏の謝罪文と慰謝料160万円で和解が成立しました。
コメント
本件では、有責性を一切認めないというN氏の態度が、傷ついたYさんを一層硬化させました。そのために訴訟にまで発展し、高額の慰謝料支払に繋がりました。