相手方が主張した後遺障害逸失利益を否定した判決を獲得した事例
事案の概要
Xさんは、片側1車線道路を走行中、前方の横断歩道を歩行中であった高齢のYさんと衝突する事故を起こしてしまいました。その後、Yさんからの損害賠償請求をされましたが、交渉ではまとまらず、Yさんが訴訟を提起したため、Xさんは弊所に訴訟対応を依頼しました。
解決までの流れ
Yさんの請求の内容には、治療費や慰謝料などのほかに、後遺障害による逸失利益が含まれていました。後遺障害による逸失利益とは、後遺障害がなければ、本来働くことで得られたであろう利益(収入)をいいます。しかしながら、Yさんは高齢であり、持病が存在する可能性もあり、働くことができる能力はなかったのではないかと疑われる状況でした(つまり、働くことで得られたであろう利益はないのではないかという状況でした。)。
そこで、弊所の弁護士は、訴訟手続の中で、Yさんが入通院していた病院に対して、カルテ等の医療記録の開示を求め、Yさんの事故前から事故時までの医療記録を取得することができました。その医療記録を精査したところ、Yさんにはアルツハイマー型認知症などの持病があり、とても働くことができるような状態ではないことが判明しました。そして、訴訟では、このようなYさんの状況を主張しました。
最終的には、当方の主張が認められ、裁判所は、Yさんには逸失利益を認めることはできないという判断をし、Yさんの主張は認めないとする判決が言い渡されました。
コメント
本事案は、被害者が高齢であり、働くことができる能力があったかどうかが争点となった事案でした。このような争点について重要な資料になるのが医療記録ですが、その内容を精査し、訴訟において主張するためには専門的知識が必要です。交通事故事件は、専門性が高い分野です。交通事故事件でお困りの際には、交通事故に精通した弁護士に相談することをお勧めします。