自宅の退去と引き換えに立退料500万円を獲得した事例
事案の概要
Aさんとその両親は借地上に建てた建物に長年暮らしていましたが、ある日、土地を買い受けたと主張する不動産業者が建物収去土地明渡を求めてきました。Aさんが調べたところ、当該土地は90年以上前にAさんの先祖と土地の所有者が賃貸借契約を交わしていたことが判明しましたが、所有者の子が亡くなってから、15年近く賃料は支払われていないようでした。Aさんは今後の対応について相談するため、当事務所に相談に来ました。
解決までの流れ
Aさんから依頼を受けた当事務所の弁護士は、戸籍等の資料を参考に昔の事情を知る人物を特定し、事情の聞き取りと当時の資料の開示を求めました。その結果、昔に土地所有者と賃貸借契約を交わしていたこと、賃料は15年以上支払われていないこと、その後、土地所有者の相続人との間で賃料改定に関する協議が行われていたことが判明しました。
弁護士は、上記事情を踏まえて、賃貸借の占有権原を主張しましたが、土地を買い受けた不動産業者は代理人を立てて、すぐに建物明渡請求訴訟を提起してきました。
訴訟になると、相手方は一定の立退料の支払と引き換えに退去するよう和解を提案してきました。そこで、弁護士はAさんの意向を確認しながら、退去する場合の立退料について交渉を重ねました。その結果、立退料として500万円の支払を受けることと引き換えに自宅を退去することで和解が成立しました。
コメント
立退きを求めるケースの場合、賃貸借契約等の占有権原があっても、立退料の支払と引き換えに退去することで和解がまとまることがあります。
その際の立退料の金額については、占有権原の有無、賃料の相場、占有者の事情、明渡しを求める事情等によって定められます。
本件では、500万円という高額な立退料を獲得することができ、Aさんにとっても経済的に非常にメリットのある解決でした。