住宅の使用貸借権を財産分与として設定した事例
事案の概要
Xさんは妻・Yさんに対して離婚を申し入れましたが、離婚するにあたり様々な問題がありました。
財産分与の問題もその一つでした。
Xさんの資産のうちの一つに、現在Yさんが居住するXさん名義の住宅(住宅ローン契約者はXさん)がありました。
Yさんは本件住宅を財産分与として要求しましたが、この条件を呑むとXさんは住宅ローンの返済だけを続けることになってしまいます。
これは過大な分与となるので住宅だけを分与することには応じることはできないというのがXさんの主張です。
本件問題をどのように解決すべきなのか相談すべく、Xさんは当事務所に相談されました。
解決までの流れ
担当弁護士は、Xさんに対し、一定期間Yさんの住居費を負担することを内容とする財産分与をするのはどうか、と提案しました。
法形式としては、Xさん名義の住宅をYさんに対し一定期間使用貸借することになります。
弁護士からの説明を聞いたXさんはこれに同意しました。
次いで、Yさんに対し、2年間の使用貸借権を設定することを提示しました。
Yさんもこの提案に同意したので、住宅に関する財産分与の問題がクリアとなり、XさんとYさんの協議離婚が成立しました。
コメント
本件住宅を賃貸借に供した場合の家賃相場は月額25万円でした。
2年分の賃料は600万円となるので、計算上、Xさんは600万円を財産分与したことになります。
このような使用貸借権の設定という形での財産分与もあり得るという事例です。