第三者名義のマンションについて適切な手法で財産分与の対象とした事例
事案の概要
Xさんは妻・Yさんに対して離婚を申し入れましたが、離婚するにあたり様々な問題がありました。
財産分与の問題もその一つでした。
Yさんは、Xさんが保有するマンションについて、土地及び建物を財産分与の対象として要求しました。
Xさんとしては、本件マンションを財産分与として渡すことはやぶさかではなかったのですが、マンションの土地はXさん名義、建物はXさんがオーナーである会社・Z社の名義でした。
建物の名義がZ社である以上、これをYさんに移転することは財産分与としては評価されません。
仮にZ社からYさんにマンション所有権を移転した場合、財産分与ではなく贈与と評価されます。
ともすればYさんに多額の税金負担が生じることとなるのですが、Yさんはこれを良しとはしませんでした。
本件問題をどのように解決すべきなのか相談すべく、Xさんは当事務所に相談されました。
解決までの流れ
担当弁護士は、XさんがZ社から建物を買い取る形で(売買名目で)建物の所有権を移転させることを提案しました。
Xさんはこれに同意し、Z社から建物を買い受けました。
この結果、本件マンションは土地・建物ともに名義人がXさんとなったので、これをYさんに財産分与しました。
Yさんの要求していた財産分与を達成することができ、XさんとYさんの協議離婚が成立しました。
コメント
財産分与の目的が第三者名義の財産である場合、その第三者が直接相手方に名義を移転することが法的には可能であっても、租税等の観点からそうすべきではありません。
まず第三者から分与者に所有名義を移転し、その上で相手方に財産分与することが適切です。