抵当権が設定されていた不動産について抵当権を解除してもらったうえで財産分与の対象とした事例
事案の概要
Xさんは妻・Yさんに対して離婚を申し入れましたが、離婚するにあたり様々な問題がありました。
財産分与の問題もその一つでした。
Xさんはマンションを数棟保有しており,そのうち1棟を財産分与することにしましたが、そのマンションにはXさんが事業資金として借り入れた債務を担保するために抵当権が設定されていました。
マンションは無担保の状態で財産分与してもらいたい,それができないのであれば離婚には応じられない,というのがYさんの主張でした。
金融機関に対し全額弁済すれば抵当権が解除されることは当然ですが、借入残高は非常に高額であり即時弁済できるような額ではありません。
本件問題をどのように解決すべきなのか相談すべく、Xさんは当事務所に相談されました。
解決までの流れ
受任後、担当弁護士は、金融機関との交渉を開始しました。
交渉の結果、①担保余力のある別の不動産を追加で担保提供すること、②借入金の一部を内入れ弁済すること,を条件に抵当権を解除してもらえることになりました。
これに従い,Xさんが担保の供与及び内入れ弁済を行うことで、マンションに設定されていた抵当権が解除された結果、問題の一つがクリアとなり、XさんとYさんの協議離婚が成立しました。
コメント
債務の弁済なしに抵当権の解除が認められた珍しい事例です。
この事案では、Xさんが保有していた他の不動産に十分な担保余力があったことと、一定額の内入れ返済に応じることができたことから、抵当権の解除を受けることができました。