相続人不存在の被相続人に対する貸付金を、相続財産法人から全額回収した事例
事案の概要
10年前、Aさんは火災事故に遭いました。この事故により、Aさんは自宅が焼失してしまいました。
これを不憫に思ったXさんは、Aさんに対し、自宅の新築資金の一部として300万円を貸してあげました。
その後、Aさんは突然死してしまいました。
故Aさんに対する貸付金300万円を回収する方法はあるのか知りたかったXさんは、当事務所に依頼しました。
解決までの流れ
担当弁護士は、まずAさんの相続人を捜索しました。調査の結果、Aさんの兄妹が相続人であることが判明しましたが、両者とも相続放棄をしており、相続人が不存在であることが判明しました。
となると相続財産管理人による清算手続きを経なければ回収はできません。
本件では、Xさんが相続財産管理人の選任申立てをしなければならないのですが、選任申し立てには費用が掛かりますし、選任後に債権回収ができるか否かは不明です。
費用倒れになる可能性が高かったことから、Xさんは相続財産管理人の選任申立を躊躇しておりました。
さらに調査を進めたところ、Aさんの自宅は借地であり、土地の所有者は国であることが判明しました。
国が利害関係人であったことから担当弁護士が国に繰り返し強く働きかけたところ、国の請求により相続財産管理人が選任されました。
その後、担当弁護士は証拠書類を調えて相続財産管理人に対して請求の申出をしたところ、これが認められて300万円全額を回収することができました。
コメント
相続人らが相続放棄をしている事実から、相続財産はほぼ残っていないと推察される状況であり、相続財産管理人選任請求の費用をかけても費用倒れになってしまう可能性が高いことから、対応が難しい状況にありました。
しかし、国が利害関係人であったことから、国に相続財産管理人の選任請求を行ってもらうことで、Xさんとしては費用をかけずにこの問題を解決することが出来、最終的に債権回収の実をあげることができました。