不動産売買契約締結から8日間経過以後にクーリングオフした事例
事案の概要
Aさんは、B不動産会社から投資用マンションの購入を持ち掛けられ、その場で売買契約書に署名しました。しかし、後になって冷静に考えてみてこの売買は自分の財産状態では資金不足であることに気付き、Bに解約を申し入れました。
宅地建物取引業法(宅建業法)37条の2によれば、売買契約を締結した後でも一定期間内(8日)であれば契約を解除できることになっています(クーリングオフ)。
Aさんは解除を通知しました。これに対しBは、契約時にクーリングオフ告知をしており、告知から8日を経過している本件では解除はできないとして違約金を請求してきましたので、Aさんは本件の解決を当事務所に依頼されました。
解決までの流れ
宅建業法は、売主不動産会社が買主にクーリングオフ告知書を交付して告知した場合、告知日から8日を経過したときはクーリングオフができなくなると定めています。これを受けて宅建業法施行規則16条の6は、クーリングオフ告知書に記載すべき事項として6項目を定めています。
Aさんが契約時にBから交付された告知書には、1号から6号までのうち、4号から6号までの記載がありませんでした。告知書が所定の要件を備えていないとクーリングオフ行使期間はいつまでも進行しません。したがってAさんは、契約から8日以上が経過していましたがクーリングオフは可能でした。
こうしてAさんはBに対して、解除が有効であると認めさせることができました。
コメント
不動産の購入を持ち掛けられ、強引な勧誘を断り切れずあるいは軽率に契約書に署名してもクーリングオフができることになっています。クーリングオフができるかできないか分からないときは一度専門家にご相談されることをお勧めします。