離婚時の財産分与請求権について、不行使特約を結んだ事例
事案の概要
日本人であるAさんは、B国籍のCさんと結婚することになりましたが、AさんもCさんも自分自身のビジネスを持っていました。
ビジネスの成果は自分だけのものにしたいというCさんの言葉がきっかけで、Aさんもこれに同意し、離婚の際にはお互いに財産分与を求めないという合意書を交わすことになり、その書面化のために当事務所に来られました。
解決までの流れ
当事務所では、財産分与請求権不行使特約を結び、これを公正証書にすることを勧めました。AさんとCさんの同意を得て、公証人との間で協議し、次の文面にすることが決まりました。
「第●条 甲及び乙は、甲及び乙が離婚により婚姻関係を解消する場合、互いに相手方に対して、名目のいかんに関わらず、日本国民法768条に基づく財産分与請求権及びB国法に基づくこれと同等の権利を行使しないことを約する。」
そうしてAさんとCさんが公証役場に出頭して公正証書に署名しました。
コメント
AさんもCさんも、自分の資産形成に対する意欲を削がれたくなかったのでしょう。また、どこまでも婚姻を継続するという意識が希薄だったのかもしれません。
事実、この1年6か月後にAさんとCさんは離婚し、この特約が効力を発生することになりました。