投資用マンションの売買において、売主から買主に確定測量図が交付されなかった事例
事案の概要
不動産販売業者であるX社は、Yさんに投資用マンション(土地及び建物)を販売しました。YさんはX社に対して、マンションの敷地の確定測量図の交付を要求しましたが、X社はお茶を濁して確約しませんでした。Yさんは何度も催促しましたが、X社が応じないので、業を煮やして当事務所に相談に来られました。
解決までの流れ
当事務所は、早速X社に対して確定測量図を要求する内容証明郵便を送付しました。ところが、X社の返答は「その義務はありません。」というものでした。Yさんから売買契約書を見せてもらいました。この契約書では、確定測量図の交付が売主の義務の中には記述されていませんでした。この点につきYさんは、今どきの不動産売買では確定測量図を引き渡すことは常識になっている、契約書に書いてある必要はないと主張しました。
当事務所は、Yさんの主張をX社に認めさせるために訴訟を起こすことを提案しました。しかしYさんは、訴訟は割に合わないと言って結局、確定測量図の引渡しを断念しました。
コメント
確定測量図条項が明記されていなくても売主の義務であるというYさんの主張は、必ずしも常に通用するものではないと思います。一口に土地と言っても、厳密な測量をしなければ商品とは言えないものもあれば、そこまでせずとも取引されるものもあります。自分の買う土地が測量されていることが重要であれば、確定測量図条項を明記すべきでしょう。