共同事業契約の相手方に対する信頼関係の喪失を理由に、同契約を解消した事例
事案の概要
Aさんはレストランのフロアマネージャーであり、Bさんは調理人でした。AさんとBさんは、将来二人でレストランを開業することで意見が一致し、その準備行為を進めるための共同事業契約を結びました。この契約では、Aさんが月々定額の事業資金をBさんに預け、Bさんは店舗探しや、設備・什器の手配などを担当することになっていました。ところが、Bさんが賃借しようとした店舗がAさんの気に入らず、この店舗の賃借は流れました。このころから、AさんとBさんの意見の食い違いが大きくなっていきました。
Aさんは、Bさんとの関係解消を決断し、当事務所を訪問されました。
解決までの流れ
当事務所では信頼関係の喪失を理由に解除の意思を表示し、預託金の返還を請求しました。これに対しBさんの代理人は、Aさんの解除は解除事由にあたらないから約定の違約金を支払えと請求してきました。
このやりとりがしばらく続きましたが、Aさんは法的手続きに進むことには躊躇しました。Bさんからの違約金請求も立ち消えになった様子でした。こうして、共同事業契約は事実上解消されました。
コメント
共同で事業を始めるとき、当事者は契約が順調に進んだことばかりを考えがちです。しかし、弁護士は計画がうまくいかなかった場合の撤退の仕方に重点を置いて契約を検討します。