妻の不貞行為の相手方男性に対して夫がした興信所の調査費用の賠償請求が排斥された事例
事案の概要
Aさんの妻であるBさんは、Cさんが経営する輸入雑貨店の従業員でした。Bさんは、Aさんとの夫婦生活が円満でなかったことも手伝って、まもなくCさんと不貞の関係になりました。
AさんはBさんの不貞を疑い、興信所に調査を依頼しました。その結果、Bさんの不貞がAさんに発覚しました。まもなく、Cさんのもとへ慰謝料及び興信所の調査費用の賠償を求める内容証明郵便がAさんの代理人から届きました。
Cさんは、交渉によって減額したうえで解決したいと当事務所に相談に来られました。
解決までの流れ
当事務所では、慰謝料のみを支払う和解を提案しましたがAさんは応じず、訴訟を提起しました。
事件は和解では終わらず判決になりました。
判決において、裁判所はCさんに対し、慰謝料の支払を命じましたが、興信所の調査費用の賠償は、因果関係がないという理由で認めませんでした。
コメント
不貞行為に対する損害賠償請求において、興信所の調査費用を損害に含めて賠償請求するケースはよく見られます。しかし、不貞行為と興信所の調査費用の発生との間には因果関係がありません(不貞行為がなかったとしたら調査費用は発生しなかったという条件関係が成立しません)。
判決が、興信所の調査費用の賠償を認めなかったことは当然です。