時効期間満了直前の貸金について、一部返済、残額免除を内容とする和解を成立させた事例
事案の概要
AさんはBさんに60万円を貸しましたが、Bさんは返そうとしませんでした。AさんはBさんと交渉し、Bさんから毎月5万円ずつ12回分割払いして返済してもらうことにしました。
しかし、その後一度も返済がないまま、1回目の弁済期日から10年近くが経ち、時効期間の満了が近づいて来ました。
困ったAさんは、当事務所に相談に来られました。
解決までの流れ
当事務所の弁護士は、時効を中断するために直ちに内容証明郵便でBさんに対し貸金の返還を催告しました。これに続けてBさんとの間で貸金の返還を求める交渉を行いました。
Bさんは、債務の存在は承認しましたが、資力がないことを理由に支払を拒否しました。当事務所は、Aさんの了解を得て、貸金の一部を一括で返済すれば残額を免除するという条件をBさんに提案しました。
Bさんはこれに応じ解決金として債務の一部を支払い、Aさんは残額を免除しました。
コメント
Bさんに対する催告に対して、Bさんが債務を承認しない場合、時効を中断するためには訴訟を提起しなければなりません。当然そのコストが発生します。そのうえ、勝訴したからといってBさんが支払わなければ、訴訟を起こした意味がありません。
本件の解決は訴訟のコストを掛けないで回収を図るための次善の策でした。