婚姻費用分担額の算定において、息子の学費及び生活費を権利者・義務者の基礎収入割合に応じて分担することが命じられた事例
事案の概要
Aさん(夫)とBさん(妻)は夫婦仲が悪化し、Aさんが家を出る形で別居するに至りました。Aさんは離婚を求める調停を申立てました。他方、Bさんは婚姻費用の分担を求める調停を申立てました。
婚姻費用分担調停の中で、成人してはいるものの、別居して大学に通学している息子の学費と生活費の負担について意見がまとまらず、事件は調停から審判に移行しました。
解決までの流れ
裁判所は双方の収入を算定表(夫婦のみ)に当てはめて分担額を試算しました。そのうえで、息子が経済的には自立しておらず、扶養義務を負う両親が分担すべきであるとし、その割合をAさんとBさんの基礎収入に比例配分して定めるとしました。
そして、Aさんがこれらを負担している現状に鑑みて、AさんがBさんに対して支払うべき婚姻費用の試算額からBさんの分担額を控除することを認めました。
コメント
成人した息子の学費生活費などは扶養義務を負う両親の負担です。
その負担割合を決めるについては総収入割合に応じて配分するという方法と、基礎収入割合に応じて配分するという方法があります。
この審判では後者が取られました。