離婚調停申立に対して離婚を認める合意に相当する審判が成立した事例
事案の概要
Aさん(夫)とBさん(妻)は婚姻から4か月で夫婦仲が悪化し、Bさんが家を出て行ってしまいました。
その数日後、警察がAさんの元を訪れ、Bさんが荷物をまとめて家を出るまでの間、立会うと言われました。
翌日、Aさんは離婚調停を申立て、当事務所に手続代理を委任されました。Aさんの離婚調停申立てに対して、Bさんからは婚姻費用分担請求調停が申立てられました。
調停ではBさんは電話で出席しました。
解決までの流れ
初回の調停でAさんは、Bさんは自分から離婚を求めて出て行ったのであるから、直ちに離婚に応じるべきである。婚姻関係を前提とした婚姻費用分担請求は矛盾していると主張しました。
これに対してBさんは、離婚するかどうかもう少しじっくり考える時間が欲しいと言い、直ちには離婚に応じませんでした。その次の調停でBさんは、解決金支払を条件に離婚に応じると言いました。
Aさんとしては解決金支払には大いに不服でしたが、仮に調停が長引くと、あるいは不成立となると婚姻費用を支払い続けなければならなくなることを考え、解決金支払が離婚の早道であると判断しました。
結局、婚姻費用分担相当額の1年分を解決金として支払うことを条件に離婚の合意が成立しました。
なお、この合意の中には婚姻費用分担額の支払条項はありません。
また、離婚成立の形式は、Bさんが直接出席していないことから合意に相当する審判になりました。
コメント
離婚が成立するまでの別居期間中の婚姻費用分担義務の負担を考えると、解決金の支払はやむを得なかったと思います。
本件のAさんは解決金を支払うだけの余裕があったので、2回目の調停で離婚成立に至りました。