相手方が申立てた子の引渡し審判について、相手方の主張を退けた事例
事案の概要
夫であるB氏との夫婦仲が悪化したことを理由に別居することにしたAさんは、B氏に断ることなく2人の子ども(10歳と7歳)を連れて実家に戻りました。
Bさんは、子どもたちを取り戻して自分の監護下に置くために、「Bさんを子どもたちの監護者に指定すること」及び「Bさんに子どもたちを引き渡すこと」を求める審判及び仮処分を申立てました。
Aさんは、本件審判等に対する対応を当事務所に依頼されました。
解決までの流れ
審判において、裁判所は、家庭裁判所調査官の調査を命じました。
調査対象は、Aさん、B氏、子どもたち、Aさんの両親、別居まで子どもたちが通っていた幼稚園、小学校、別居後に通い始めた小学校でした。
調査報告書では、子どもたちの発達段階に鑑みると、Aさんが監護養育する方が子の福祉に適うとの報告がなされました。
これを受けて裁判所は、まず、保全の必要性は認められないと述べました。これを受けB氏は保全処分の申立てを取り下げました。
次いで裁判所は子どもたちの監護者をAさんに指定し、B氏の引渡請求を却下する審判を下しました。AさんがB氏の同意なく子供たちを連れて出たことについては、子どもたちを守るためにしたことであり、相応の理由がないとはいえないとして特段問題視はされませんでした。
コメント
監護者指定が争われる場合、通例では家庭裁判所調査官の調査が行われます。
調査では家庭訪問、面接、幼稚園・学校への問合せなどが行われます。
たいていの場合、調査結果は審判に採用されます。そのため申立人・相手方は、調査において子の監護養育者として自分が適格であることを示せるよう、しっかりと準備しておくことが必要です。