疾病による収入の減少を理由に、養育費の減額を認める審判がなされた事例
事案の概要
Aさんは5年前にBさんと離婚し、子2人の親権者はBさん、AさんはBさんに養育費として一人当たり月7.5万円ずつを支払うという内容の合意に基づいて公正証書を作成しました。
しかし、その後Aさんはうつ病を発症して病気休職を命じられ、以後休職が継続しました。Aさんの休職前の年収は800万円でしたが、休職後は490万円に減りました。
当事務所はAさんの代理人として、養育費を一人当たり月2.5万円に減額する調停を申立てました。
解決までの流れ
Bさんが養育費の減額に応じるはずもなく、事件は審判に移行しました。
裁判所はAさんの収入を認定するにあたり、事情変更による収入の減少を認めつつも、休職中であるから職業費(収入日16%)の出捐はないとして、584万円の給与収入と同視すべきであるとしました。
そのうえで、Aさんの収入とBさんの収入260万円をいわゆる算定表に当てはめて、子一人当たりの養育費を5万円に減額するのが相当であると判断しました。
金額の変更時期は、Aさんが養育費の減額を申入れた時からとされました。そうすると申入れから審判までの期間、Aさん養育費を過払してきたことになりますが、審判ではその調整をしないとされました。
コメント
この事案では、Aさんの稼働能力が低下したことには疑いを差し挟むような余地がなく、稼働能力が低下した事実は事情の変更に当たると認められました。