夫が所有するマンションについて、売却するまでに一定期間を設け、その間、妻に対し、無償で居住することを認めた事例
【事案の概要】
Aさんは、妻Bさんに対して離婚調停を申し立てました。
離婚条件の中でネックとなったのは財産分与でした。
Aさんの資産は、金融資産のほかに、Bさんが居住しているAさん名義のマンションでしたが、これにはAさん名義のローンがついていました。
Aさんは、このマンションを売却し、ローン完済後の残額を折半することを提案しました。
一方、Bさんはマンションの分与を要求しました。
しかし、Aさんにとってローン返済だけを引き受ける、マンションの分与には応じないと主張しました。
【解決までの流れ】
当事務所は、Aさんがマンションを売却するまで一定期間を設け、その間、Bさんは無償でマンションに居住することができることを内容とする財産分与を提案しました。
法形式としては、AさんがBさんに対し一定期間使用貸借権を設定することになります。
本件では、AさんはBさんに対して41か月間の使用貸借権を設定することを提示しました。
Bさんもこの提案に同意したので、AさんとBさんの調停離婚が成立しました。
【コメント】
この住宅を賃貸借に供した場合の家賃相場は月額23万円でした。41か月分の賃料は943万円となるので、単純計算すると、Aさんは943万円を追加的に財産分与したことになります。