あおり運転の被害者が加害車両の特定に成功し、訴訟で3000万円以上の賠償金を獲得した事例
事案の概要
Aさんは深夜に市街地を自動車で走行していたところ、後方を走行していた乗用車から、接近、進路妨害、幅寄せ、追走などいわゆるあおり運転をされて、数分間、自動車を運転しながら逃げ回りました。
すると、Aさんの運転する自動車が交差点に進入したところで交差道路から接近してきた別の自動車と衝突し、Aさんの自動車は付近の電柱や民家の外壁に次々衝突し、大破してしまいました。
幸いAさんの命に別状は無かったものの、頚椎骨折やPTSDの傷害を負い、しばらく入院生活を余儀なくされました。
Aさんは事故から約2年間通院加療を続けましたが、PTSDの症状は改善せず、職務に復帰するのが難しい状況でした。
Aさんは加害者に損害賠償請求をしたいと考えましたが、加害者は事故後、現場から走り去っていってしまったので、名前も連絡先も不明でした。
Aさんは警察に相談しましたが、あおり車両の運転者を特定することは困難との理由で、捜査に進展はありませんでした。
困り果てたAさんは、何とか加害者に損害賠償請求をしたいと考え、当事務所にご相談くださいました。
解決までの流れ
当事務所の弁護士は、早速、あおり運転車両の唯一の証拠であるドライブレコーダー映像を確認しました。
映像からは、メーカー、車種、色を確認することが出来ましたが、登録番号(ナンバープレート)は画像が荒く、文字を識別することが出来ない状態でした。
そこで、弁護士は、画像解析業者にドライブレコーダー映像の分析を依頼したところ、不鮮明であった登録情報の文字の一部について解析に成功し、いくつか可能性のある候補を絞り出すことができました。
その後、弁護士は運輸局に23条照会の手続を行い、車種等の情報と合わせ、条件に合致する車両について照会したところ、1台の該当車両を見つけ出すことに成功しました。
その後、当該車両の所有者に運行供用者責任を問う訴訟を提起し、約1年半の審理を経て、最終的に賠償金3000万円以上を認める判決を獲得することに成功しました。
コメント
近年、あおり運転の事件がニュースやワイドショーで多く取り上げられています。報道された事件の中には異様な行動を取って被害者に危害を加えたり、攻撃的な運転で被害者を威嚇したりするケースも見受けられます。
あおり運転が原因で事故や怪我などの損害を被った場合、通常の交通事故と同じように加害者に対して損害賠償請求をすることになりますが、あおり運転の場合、現場から逃走してしまうなどの理由で加害者を特定することが困難なケースもあります。
この場合、ドライブレコーダーの映像が重要な証拠となりますので、自動車を運転される方は必ずドライブレコーダーを搭載することをお勧めします。